日本語を知らないアメリカ人には、「ディズニーランド」よりも「デズニーランド」の方が自然に聞こえるに違いない(と思っている)。
極端な場合、「ディズニーランド」では通じないかもしれない(と思っている)。
"digital" を「ディジタル」と言う人や言う場合もあるが、「デジタル」と言ったり書いたりするのが普通である。
それは、「デジタル」の方が日本人には発音しやすいからに違いない。
字数も少なく、発音しやすく、実は英語の発音にも近い「デジタル」が普及したのはいいことである。
参考までに、英語の辞書の発音記号では、"digital" の "di" と "Disney" の "Di" は同じである。
(もっとも、「ディズニーランド」の「ディ」は商標としての表記だから、発音しやすさとは別の次元の話ではある。)
さて、ここからは「シミュレーション」についてである。
僕は生真面目で几帳面だ(った)から、"simulation" を「シュミレーション」と言ったり書いたりするのはおかしいという恩師のことばを素直に聞き入れ、ずっと長い間(40年?)、深く考えることなくそうあるべきだと思っていた(正確には思考を止めていた)。
しかし近年、上述の「デズニー」「デジタル」問題を発展させる形で、「シュミレーション」復権を考えるようになってきた。
職業を表わす「キャリア」は、英語 "career" の発音に忠実にかけば「カリア」である。
それが「キャリア」でいいなら、わざわざ日本語としては発音しにくい「シミュレーション」にこだわらず、誰もが自然に発音する「シュミレーション」に市民権を与えてもいいのではないかと思うようになった。
「新しい」は、元来は「あらたしい」だったのが、次第に言い間違いの「あたらしい」が市民権を得たように、そろそろ「シュミレーション」でもOKとすべきではないかと思う。