教育

2020年12月29日 (火)

Microsoft Teams のオンライン授業で学生が質問しやすくなる環境の実現方法

対面授業で受講生に課題に取り組んでもらっているときなど、教室を巡回し質問のある学生に声をかけられ返答する状況を、オンライン授業で実現する方法についてである。
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「これは上手いやり方じゃないか!」と思いつくことはたくさんあるが、期待通りに成功することは少ない。そのような中にあって、これから述べる方法は成功例といっていいと考えている。
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疑問があるから、あるいは確認したいことがあるからといって、教室でみんなの前で質問するのは気後れしてしまう。
気後れする必要はないんだよと言われても、疑問の重大さと気後れの大きさを天秤にかけて、疑問を飲み込んでしまうこともあるだろう。

対面授業で教師が教室を巡回し、近くに来たときに、(近くの数人には聞こえるかもしれないが)教室中には聞こえない小声でのやりとりも重要である。
質問した当人の疑問が解消できる機会となるのはもちろん、教師として、受講生の多くが共通に抱いている疑問に気づける機会でもある。さらには、教師の説明不足や説明ミスに気づける機会でもある。

Microsoft Teams での、この状況の作り方と運用法を以下に示す。

  1. 全員へ向けた授業のためのチャネル以外に、「質問ルーム」チャネルを作成する。
  2. 受講生が課題への取り組みを開始したら、教師は「質問ルーム」に移動し“ひとり会議”を立ち上げる。
  3. 質問のある受講生は、「質問ルーム」の会議に参加する。
    ただし、次の約束を設ける:
    • 質問ルームの会議に参加する受講生は、同時には1名までとする。(誰かが会議に参加しているかどうかは参加者アイコンで確認することができる。)
    • 質問中の人がいる場合には、「質問ルーム」チャットに「次、お願いします」などと書き込む。
  4. 教師は、質問者とのやりとりを終えたら「質問ルーム」会議チャットを確認し、早い順に「いいね」を押す。
  5. 「いいね」を押された人は会議に参加する。
改善や発展の余地はあるだろうが、誰もが気後れせずに(躊躇なく)質問できる環境の基本は実現できていると思う。

【補足】ひとつずつ手順を示した書き方が分かりやすいとは限らない。さまざまなマニュアル(取扱説明書)はステップ(手順)を踏んで書かれているが、そのような書き方は、既に分かっている人の思考の整理にはなっても、まだ分からない人には理解しにくいことがあると思っている。そこで、要するに何をしているのか補足するために、「質問ルーム」に掲載している案内文を引用する。この案内文だけで、十分に利用法が伝わっているようだ。

誰かが質問中の場合(または「いいね」されていないメッセージが残っている場合)には、チャットに「次、お願いします」と書き込んでください。空き次第、書き込みに「いいね」します(「いいね」されたら会議に参加してください)。

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2017年12月 3日 (日)

生徒と教師は鍋と鍋磨き

生徒と教師の関係は、鍋と鍋磨きの関係である。磨く方も磨かかれる。

これは、NHKラジオ第一「かんさい土曜ほっとたいむ」キャスター 佐藤 誠氏が、2017年12月2日の放送内で使っていた表現である。

うまい表現だ。

生徒、教師という立場に限らず、何かを教わる側と教える側について広く言えることである。

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2015年10月17日 (土)

技術と工学は違う?

「理科離れ」ということばが普及して久しい.

大学入試で「理科」といえば数学は含まないが,「理科離れ」の「理科」は間違いなく数学を含んでいる.

「理系」あるいは「理科系」といえば---厳密な意味はともかく---間違いなく数学も含むと解釈されるから,誤解の心配がなく,簡潔な表現として使用されているのだろう.

さて,米国でも,いつの頃からかは定かではないが,日本の理科離れ対策と同様の場面で STEM を目にすることが多い.

STEM は Science, Technology, Engineering and Math のことである(Math = Mathematics).日本語にすれば,“科学,技術,工学,数学”である.

概して,日本語では,ことば(用語)が長い場合,その一部を抜き出して全体を代表させることが多く,英語では,単語の頭文字をつなげて短くしつつ,発音しやすくすることが多い.理科とSTEMはこの例に入る.

このような,ことばの簡略化に際しての,日本語と英語の相違も興味深いが, STEM についてが興味を持ったのは,日本語では明確には区別されておらず,ほぼ同じ意味で用いられることの多い technology と engineering が両方とも登場することである.両方ともが登場していることから分かるのは,英語においては, technology と engineering は別物であるということである.

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2013年12月28日 (土)

上位校公表

今年は,全国学力・学習状況調査(いわゆる,全国学力テス ト)の話題が幾度も目にとまった.

静岡県知事は9月下旬,自己責任で県内の上位校を公表すると宣言し,ニュースになった.

実施者である文部科学省の実施要領によれば,今年については学校名が分かる結果公表を原則禁止としているようである[2013年度実施についての文科省の通知(2012年12月7日付)はこちら].
しかし,2013年11月29日に発表された2014年度実施要領によると,「教育上の効果や影響等に十分配慮」すれば学校名が分かる公表が可能であるように読み取れる.

素朴に解釈すれば,静岡県知事の行動が世論を動かし,世論が文科省を動かした形に見えなくもない.

は,上位校公表ですら問題視していた.学校別の公表はなおさら問題だと思う.

その理由は,実は文科省の実施要領の「調査結果の取扱いに関する配慮事項」に既に慎重に記述されているとおり,「測定できるのは学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一側面に過ぎない《…中略…》序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要」だからである.

無数にある評価軸のごく一部を近視眼的理由で選択した少数次元空間での最適化は,人知の及ばない高次元空間で見れば局所最適化に過ぎないからである.
井の中の蛙大海を知らず,になりかねない.

もちろん,節度を守って目標とするならば,おおむね有意義に活用できるだろうが,節度を守れない雰囲気が作られてしまう可能性が,はなはだしく高い.

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