木よりも森?
間違いが科学を進歩させることがある.
局所的には正しいが視野の狭い考えよりも,本質を突いた間違いの方が価値が高い場合もある.
このことを実例を用いて興味深く述べているのが,日経サイエンス2012年10月号の記事「ウソから出た大発見」である.
もちろん,間違いの方がいいというのではない.間違いの大半は単なる間違いであり,忘れ去られてしまう.
間違いの中には,間違いだからと無視されずに,間違いを証明するための試みが発見や発展につながった例など,貴重な間違いが,科学の歴史には存在するということである.
ところで,Scientific American誌のオリジナル記事のタイトルは ``The Right Way to Get It Wrong'' である.いつものことながら,インパクトのあるうまい日本語タイトルを付けるものだと感服する.タイトルに拘らずに内容を元にしているところに加えて,「間違い」を「ウソ」と言い換えているところも人を“おやっ”と思わせる.英語タイトル自体に洒落っ気があるから,そのニュアンスを日本語化するのが難しい.Get it wrong は 誤解する,間違えるという意味だから,素朴に日本語化すれば「正しい間違え方」であろう.
※ 間違いと科学については,「ノオト:間違いは失敗じゃない」も参照.
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