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2008年3月13日 (木)

陰の目的

Suicaの利用範囲は,首都圏のJRから,JR駅構内の店舗へ,そして駅の外のコンビニなどへと拡大し,首都圏の私鉄,地下鉄のPASMOと相互乗り入れ(互換;どちらも同じように使える)が実現し,SuicaとPASMOが首都圏のバスにも利用できるようになった.

ちょうどSuicaがバスでも利用できるようになるという情報を目にした頃,日立電鉄バスでは独自の非接触型ICシステムの導入が発表された.できるだけ少ないカードで多くのサービスを受けたいユーザーとしては面倒なことだが,日立製作所のお膝元である(茨城県)日立市のことだから,独創的システムの社会実験が行なわれるのではないかという期待感があった[誤解されることが多いので書いておくが,日立製作所の名の由来が日立市なのであって,その逆ではない].

そのシステムは2本立てであった.ひとつはSuicaとまったく同じ利用形態のICカードで独創性がなかったが,もう一つはIC整理券という他に類を見ないシステムである.乗り合いバスの整理券といえば番号が印刷された紙片が基本であるが,バス会社によっては,番号に加えてバーコードが印刷されていて,降車時に整理券を入れると運賃を示してくれるものもある.

今回日立電鉄バスに導入されたのは,このバーコードをICタグ化した整理券であった.ICタグ整理券は普通の整理券とは違い,厚紙でできている.ICタグだけあって,そのまま再利用が可能で,表面には日立の洗濯機などの広告が印刷されている.

ここまでの紹介を読めば,いいことづくしに思えるかもしれない.しかし,ユーザー・インターフェイス(ものの使いやすさ)の観点から重大な問題があるのだ.

IC整理券を運賃箱に入れれば,IC情報が読み取られて傍らの表示板に支払うべき運賃が表示されるから,その運賃を入れればよい.これはバーコード付きの整理券と同じである.しかし,バーコード付き整理券には番号も印刷されているのに対し,IC整理券には数字が印刷されていないから,あらかじめ運賃を用意しておくことができない(バスの降車口の上方には,整理券番号と運賃の対応が電光掲示板で表示され,バスの運行とともに更新されてゆくシステムが一般的である).だから,同じ区間を乗り慣れた人でない限り,IC整理券を入れ,運賃が表示されてから支払代金を用意することになり,手際が悪くなる.

では,手際をよくしたいならどうするかというと,乗車時の整理券番号を覚えておけばよい.事実,乗車時には,整理券番号を覚えてくださいというアナウンスが流れる.

これは,ユーザー・インターフェイスの設計としては劣悪である.ユーザーにこれほどの負担をかけるのは言語道断である.

しかし同時に,技術のプロである巨大メーカーがここまで安易な製品を投入するとは考えにくい.

となると,そこには何か陰の目的があるはずだ.

そう考えていて,あることに気づいてハッとした! 高齢化社会が到来し,高齢化がますます進行するこの時代,密かな社会実験が行なわれているのではないか!? 乗り合いバス利用者にあえて記憶の負荷をかけることで,日々の生活の中で脳トレ(脳のトレーニング)をさせているのではないか.脳トレ効果で認知症発症率を減らす実証実験が行なわれているのではないか!?

これが僕の邪推に過ぎないのか,それとも鋭い推理なのか,しばらく見守りたい.

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