おかしな表現

2017年8月18日 (金)

天気予報における表現の改善?

いつ頃始まった習慣なのか定かではないが---の記憶では10年は下回らない---、テレビやラジオの天気予報で頻繁に耳にする決めつけ表現がある。

それは、〈ノオト:限定し過ぎ!?〉でも言及した、折りたたみ傘の携行に関することである。

一日中雨ではないが、雨が降る可能性が高い日の天気予報で、「折りたたみ傘があるといいでしょう」という決めつけが気に入らない。

折りたたみじゃない傘を持ちたい人も、少数派かもしれないが、いるだろう。

つい最近(1週間ほど前)に、これに関して、納得できる表現を耳にして、うれしくなった。

NHKラジオ第1の、あるニュースの最後の天気予報で、「雨具があると安心です」と言っていた。

これが今後の主流になればいいのにと思う。

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2017年5月15日 (月)

ギアチェンジ

箱根駅伝のテレビ中継で、山登り区間の選手が(比較的)平坦な道路から傾斜の急な道路に入り、力走する姿を評して、アナウンサーが、ギアを上げましたというが、本当はギアを下げなければならない。

アナウンサーは、違うと分かっていても、視聴者に伝わるように敢えてそう言っているのかもしれない。

もこの歳になると、正しさよりも伝わる方が大事だと思うことが多々ある。

※ ギア(=ギヤ=gear)はギア比

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2013年12月22日 (日)

「難易度が高い」は無意味な表現

インターネット上の情報が必ずしも正しいとは限らないのと比べるとまだマシだが,辞書に載っているから正しいとも限らない.

今回は,冷静に考えてみると無意味なことばについて述べたい.

実のところ,ことばの「正しさ」「無意味さ」の定義は容易ではない.
なぜなら,元来の意味とは異なっていても,そしてある時代には間違いであったとしても,コミュニケーションの道具としては「通じることばが正しい」という面を持っているからである.
例えば,「新しい」は元々は「新たし(あらたし)」だったのが誤用されて変化したのだが,いまどき「新たしい携帯を買う」などと言っても通じない.

もはや修正不能な極端すぎる例を挙げたが,誤用の中にはまだ修正の余地が残っているものもある.
以前のノオトで取り上げた「加速度的に」も一例だが,ここでは「難易度」について述べたい.

耳慣れているから,聞いたときにすんなりと理解できてしまうだろうが,冷静に考えると「難易度が高い」「難易度が低い」はおかしなことばである.

正しくは「難度が高い」「難度が低い」であろう.

自然に解釈すれば,「難易度」は「難度および易度」である.(【注意】「易度」ということばは辞書には載っていない).
だから,「難易度が高い」は「難度および易度が高い」となり,難しいのか易しいのか分からない!
難易度は高くも低くもなれないのだ.

分かりにくいと感じる人も多いと思うので,別のことばに置き換えてみよう.

「高度1万メートル」などで使われる「高度」について考えよう.
高度は高さの度合いである.
字面だけから考えれば,高度の対義語は「低度」であるから,「高度および低度」を「高低度」と表わすことも可能だろう(【注意】「低度」は辞書に載っているが意味が異なる.ここで考えている「低度」は辞書に載っていない).

「難易度が高い」に対応する「高低度が高い」は意味をなすだろうか?
これが意味をなさないことは理解しやすいだろう.

つまり,「難易度が高い」は「高低度が高い」というのと同じように無意味なのだ.

高低を用いて意味のある表現は,「高低度」ではなく「高低差」である.
(一般には用いられないが)難易を用いて意味のあるのは「難易度」ではなく「難易差」だろう.

《変更履歴》
2013-12-28:タイトル変更.旧「難易度が高いとは?」→新「『難易度が高い』は無意味な表現」

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1999年2月12日 (金)

加速度的に

結論からいうと「加速的に」が正しい.
「加速度」は「速度が増加する度合い」で[註*],「的」は「…のような」,「…に関する」,「…の性質を持つ」という意味を付け加えるために使われる.だから「加速的に」ならば「速度が増加する性質を持って」となって意味があるが[註**],「加速度的に」では「速度が増加する度合いの性質を持って」ということになり無意味になる.

例えば「積極的に」を「積極性的に」と言うのと同じように無意味なのだ.

インターネットの検索エンジンで「加速度的」を探してみれば,新聞社のサイトも結構ヒットして,ジャーナリストたちが安易に科学技術用語を誤用していることが分かる.ここでまさかとは思ったが手元にある“広辞苑(第4版)”で引いてみたら,何と丁寧に用例付きで

かそくどてき【加速度的】
変化の度合が急激に増してゆくさま。「輸出が―に伸びる」
とあった!
これでは日本人がみな間違うのも無理はない.第5版では間違いが正されているのを願う.

[註*] 実際には“負の”加速度もあるので増加するとは限らないが,ここでは日常的用語としての矛盾を取り上げているので問題にしない.日常用語では「加速」の反対は「減速」である.
[註**] とはいっても,もともとそれ以外では表現しにくい場合に「的」を使うし,「的」はあまりにもうまく曖昧さを吸収してしまうので,「的」なしでの言い換えはかなり苦しい.

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