錯覚

2018年11月22日 (木)

色や音、その時間感覚への影響

N. Humphrey: Colour and Brightness Preferences in Monkeys, Nature vol. 229, pages 615–617 (26 February 1971)(サルにとっての、色の好みと明るさの好み)によれば、サルは赤色よりも青色を好む。

そこから推測すると、赤色よりも青色を見ているときの方が、サルにとって、時間が経つのが早いと考えられる。
さらに類推すれば、人も、赤色よりも青色を見ているときの方が時間立つのが早いのだろう。


 その実験でサルが選んだ色は、選ばれた時間が長い順に青、緑、黄、オレンジ、赤であった。

さて・・・

日立シビックセンター科学館では、チケットカウンター(B1F)から科学館入り口(8F)までのエレベーター内に、ロケット打ち上げをイメージさせる英語でのアナウンスや効果音が流れる。

あるとき、エレベーターに乗ったところ、アナウンスや効果音が流れなかった。

そのときは、普段(アナウンスや効果音を聞きながらエレベーターに乗るとき)よりも、8階に着くまでの時間が長く感じられた。

色と同様に、音も、人の時間感覚に影響を及ぼしているようである。

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2018年11月17日 (土)

エッシャーの絵のような案内図

これ(クリックで拡大)は、2017年7月に、上野駅アトレで撮影した案内図である。
店が天井から逆さ吊りになっているような錯覚を覚える。
Uenoatre


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2016年1月16日 (土)

気づきが気づきで終わらずに成果となった例

記事「ただの水がジュースになる「魔法のカップ」!?脳を騙すらしい・・・」が目に入った.

その記事からもリンクされている "The Right Cup: Trick Your Brain, Drink More Water!" には,購入方法だけでなく,錯覚する理由や,プロジェクトの歴史(ロードマップ)など,日本語記事にない詳しい情報が書かれている.

かく言うも,実は同様の現象に気づいていた.

ボトル型の缶の日本茶や,同じくボトルの型の缶のブラックコーヒーを飲み終えた後に,ミネラルウォーターを入れて飲むと6割方元のお茶やコーヒーを飲んでいる感覚になるということに気づいていた.(※個人の感想です)

僕のこの気づきについては,2,3名と雑談の話題にしただけで,ほとんど僕個人の一過性の感想に過ぎなかった.

上述のプロジェクトの発端は,恐らく,僕の気づきと同様のことだっただろう.

あらゆる成果は,振り返ってみれば,ちょっとした気づき(発見)が元になっている.そのような無数の例のひとつという意味で特別ではないが,僕自身もその一端に気づいていたという意味で特に興味深い例である.だからといって,僕がカップを商品化できた可能性が少しでもあるとは思っていない——念のため.

ましてや,ただ面白いと思っただけの僕は,〈味と香りがあるが,実は飲んでいるのはただの水なのだから,ダイエットに役立つ〉という効果を思いもよらなかった.元々が(ほぼ)ノンカロリーである日本茶やブラックコーヒーが僕の出発点であり,その出発点から一歩も踏み出せなかったところも,その後の発展がなかったひとつの要因だろう.

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2015年12月18日 (金)

フィリングイン,その後

ノオト:フィリングイン(filling-in)」では,実は人がまったくいないわけではないのだが,人気(ひとけ)のない寂しげなキャンパスに見える写真をデモンストレーションした.

その後,そのデモンストレーションをバージョンアップしたページを作った.

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2015年12月 5日 (土)

潜在危険デザイン,その後

Turnsignallamp
2009年12月4日の「ノオト:潜在危険デザイン」で,運動錯視(動きがないにもかかわらず動きがあるように見える錯覚)によって自動車ウインカーの指し示す方向を誤認識する可能性があることを述べた.

その後しばらくの間は,その考えをただ温めていたが,2013年春に,自動車業界関係者が集まる大規模な研究集会で発表し,潜在的危険性を訴えた.しかし,ただ理論的可能性を述べただけの主張は,多くの聴衆の心には響かなかったように思えた.

反応の悪さに発奮したは,すぐに,研究室の学生とともに,僕の主張の正誤を検証する実験を始めた.自動車後部を単純化したアニメーションをパソコンのディスプレイに次々と表示し,ウインカーの指し示す方向をできるだけ早く回答してもらう心理実験である.

実験の結果,僕の主張を裏付ける結果が得られたので,2014年春に,実験結果を携えて2013年春と同じ研究集会に臨んだ.実験結果を示したことで,前の発表よりは関心を持つ人は増えたようだが,反応のほとんどは実験の設定や方法に対する問題点の指摘であって,手応えはなかった.

とはいえ,ともかくも,ある状況の下ではウインカー誤認識の率が高まる,つまり,潜在的に事故の危険性が高まるという結果が得られたので,研究成果を改めて整理して学術雑誌に投稿することにした.査読者(=匿名の論文審査者)からの指摘とそれへの対応の数か月を経て,論文が採択され,さらに数か月を経た2015年11月に論文が公開された(参考までに,この辺りの時間経過は工学系論文の平均的な流れであろう).

【論文情報とPDF】
指示方向の判断エラーを誘発する恐れのある自動車方向指示器について, 電子情報通信学会論文誌 Vol.J98-D, No.11, pp.1402-1410 (Nov. 2015). DOI:10.14923/transinfj.2015JDP7013
[論文PDF]
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2015年9月23日 (水)

NHK Eテレ「すイエんサー」に登場したキリンの錯覚

Kirinversion11NHK Eテレ・すイエんサー「超おもしろ動画を自分で作りた~い!」(2015年9月22日(火)本放送,9月26日(土)再放送;も出演)に登場したキリンの錯覚.その錯覚を家庭や学校で楽しめる型紙データが,番組サイトからダウンロードできる.

その型紙は,「ノオト:ドラゴン錯視!」「ノオト:ドラゴン錯視に新色!」で紹介した有名なペーパークラフトをモチーフに,研究室の学生たちとともに制作したものである.

僕が2008年に強い興味を持って以来,ムービーの制作(YouTubeムービー「Illusion Dragon Papers, a Parade! --- 錯視ドラゴン, めっちゃおる! 」「Illusion Dragon Papers, a Crowd! --- 錯視ドラゴン, めっちゃめちゃおる! 」「White Dragon Paper Illusion --- 白いドラゴンの錯視ペーパークラフト 」),小学校や幼稚園でのワークショップ,卒業研究テーマとしての研究と,さまざまな形でこのペーパークラフトの錯覚(逆遠近錯視 hollow-face illusion)に関わってきた.

その一部として,研究室オリジナルペーパークラフトのバージョン1.0を2009年10月に制作し,同月茨城県で開催された技能オリンピックの関連イベントに出展した.それを原型にして,少々の改良を加えたバージョン1.1が,今回,すイエんサー番組サイトで配布されているものである.

(以下,2015-09-26追記)
研究室オリジナルペーパークラフト(キリン)の設計意図は次の通りであった.ワークショップでの経験から,小学2年生でも,ドラゴンのペーパークラフトを独力で作るのは困難であった.工作作業の大半にアシスタントの関与が必要であった.そこで,ドラゴンを工作する過程で最も困難である顔部を構成する面の数を減らしたかった(ドラゴンの顔は5面で構成されている).錯覚効果を維持したまま,簡単化したかった.それでたどり着いたのが,3面で構成された顔であった.

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2015年7月13日 (月)

オフィス用品からのカレーの匂い

の観察では女子よりも男子に多い性向であるところの,何でも匂いをかぐことが,僕自身も多いのだが,ファイルボックス(KING JIM G ボックス PP-E)の包装を開けると,特に鼻に近づけなくとも,カレーの匂い(香り)がする.

組み立ててしばらく経つと,カレーの匂いはしなくなるから,恐らく,劣化防止剤のようなものの匂いなのだと思う.

包装の匂いといえば,25年前から(ほぼ)変わらず,Appleのパソコンを箱から出すときの匂いは,何か食べ物の匂いというのとはまったく異なり,3Mのスプレー糊に近い匂いなのだが,それは,パソコンが届いたうれしさを大いに盛り上げてくれる匂いである.

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2015年7月 4日 (土)

フィリングイン (filling-in)

日経サイエンス2015年7月号の記事「illusions 知覚は幻 〜ブランクを埋める幻」には,人間がブランクを埋める能力が紹介されている.

ブランクを埋める能力はフィリングイン (filling-in) と呼ばれ,人間の知覚や認識や記憶のあらゆる部分に根深く関わっている.

フィリングインは人間にとって欠かせない補完能力であるが,その能力を逆手に取った人工的な作品を示されると,たやすくだまされてしまう.
(動物としての人間は,その歴史上,そのような人工的な作品と同じような状況に直面することは,まずなかっただろうから,問題とはならなかったはずである.研究者は,人間の“強み”の裏返しであるところの“弱み”の分析を利用して,人間の本質を明らかにしようとするものなのである.)

さて,その記事中には,フィリングインが実感できる,インパクトのある画像が掲載されている.とてもよくできた作品なのだが,その作品を素材にしてフィリングインとは何ぞやを語るには,シチュエーションが制限される.
そこでは,インパクトでは負けるが,シチュエーションを選ばずに使える画像を,その記事の画像を真似て作ってみた.

↓これ(クリックで拡大)は,人のいない寂しげなキャンパスに見えると思う.
Withmask_s

しかし,グレーの目隠しをはずせば,結構な人がいる.
[目隠しのない場合と目隠しのある場合を並べたは画像はこちら]

〈改訂:2015-07-05〉目隠しのない画像と目隠しのある画像を1枚の画像として合体させ,比較しやすいようにした.

〈追記:2015-12-18〉「ノオト:フィリングイン,その後」も参照.

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2015年4月13日 (月)

反転する文字としない文字

Flippedsign写真(クリックで拡大)は,いつ撮ったのかも忘れてしまったが,画像のExif情報によれば,2012年の夏に撮影したようだ.

パッと見ると,「ちるそば」あるいは「ぢるそば」と読んでしまう.

「さ」と「ち」が(ほぼ)鏡像の関係である一方で,「る」「そ」「は」には鏡像の関係にある文字がないから,当然といえばそうなのだが,疑いなく「ちるそば」と読み,そのことばが自分の辞書にないから“おやっ?”と思うまでに時間がかかるのが不思議だ.

ついでに言えば,「ちるそば」の傍らに書いてある「つゆが自慢」も,何の問題もなく読めてしまう.

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2015年4月 5日 (日)

ひとの意見を判断する上でのコツ

以前,NHKラジオ第2の「ラジオビジネス塾」を聞いていたら,会議などで他人の意見の善し悪しを判断する上でのコツが紹介されていた.

それは・・・

ひとは,つい,自分が好きな人,尊敬する人だと,意見に同調しがちだから,より客観的な判断をするためには,同じ意見を好きではない別の人が言っていると想像してみるとよい,という内容だった.

同じように,自分が嫌いな人の意見も,自分の気が合う人が言っていると想像してみると,客観的な判断ができるはずである.

むかし,月めくり(?)カレンダーで,議論の大半は意見の対立ではなく感情の対立で起こるという内容の言葉が書かれていて,心に刻んだものだ・・・刻んだという割にはよく覚えていないが(^_^;)

モンテーニュの「エセー」にも,似たようなことが書かれていた.それは,著作を著者ではなく内容で判断できるようにすべきであるという内容だったと記憶している.

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