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2018年11月28日 (水)

外国人や人工知能には理解が難しそうな日本語表現(JRの例)

「●●●する際には、○○○してください。■■■する際には、□□□してください。」

この「●●●」と「■■■」、そして、「○○○」と「□□□」には、それぞれ対応する表現が入るのが自然である。

例えば、

「キャップを開ける際には、左に回してください。キャップを閉める際には、右に回してください。」
「電源を入れる際には、赤いボタンを押してください。電源を切る際には、赤いボタンを長押ししてください。」

などのように、である。

ただし、自然なことば(自然言語)では、文法に収まらない例外があるから、上の例のような、外国人にも分かりやすそうな表現を使うことはほとんどない。


清水義範著「永遠のジャック&ベティ」(通販サイトAmazonへのリンクはこちら)は、の世代の中学英語教科書に出てくる表現のおかしみを、それを日本語に直訳することによって教えてくれた。

さて、JRでは、列車内の冷暖房効率を上げる目的で、電車のドアすべてを一斉に開け閉めすることはせず、乗降客自らがドアそばのボタンを押してドアの開け閉めをすることがある。

前置きが長くなったが、JR東日本で使われているアナウンスで、外国人や人工知能には理解が難しそうだと感じる日本語表現は次のものである。

(表現A)「ドアを開ける際には、ボタンを押してください。ドアを閉める際には、後ろのお客様にご注意ください。」

この表現Aを文字通りにとれば、次のように解釈することも可能であろう。あるいは、次のように解釈されてしまう恐れがあるだろう。

ボタンを押す → ドアが開く
後ろの客に注意を向ける → ドアが閉まる

人は、後ろの客に注意を向けるだけでドアが閉まるようなミラクルのことを言っているのではないと瞬時に理解し、すぐに別の正しい解釈にたどり着くのである。

表現Aの省略を埋めれば次のようになるだろう。

(表現B)「ドアを開ける際には、開くボタンを押してください。ドアを閉める際には、閉めるボタンを押してください。ただし、ドアを閉める際には、後ろにお客様がいらっしゃる場合もありますので、後ろに注意してボタンを押してください。」

このような長いアナウンスを避けたいというのが、人に通じるギリギリの線をおさえた表現Aなのだろうから、苦労を察することはできる。

しかし、僕としては、さらにギリギリの線を攻めて、次のような簡潔なアナウンスを提案したい。

(表現C)「ドアの開け閉めには、ボタンを押してください。」

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