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2014年10月25日 (土)

音と文字・・・思い込み

が小学校低学年の頃だったろう,テレビ番組「セサミストリート」のテーマソングを,まったく意味も分からずに友だちと一緒に歌っていた記憶がある.

「ハッチュゲッチュッ,セッサミッチー♪」

意味は分からなかったが,今になって考えると,恐らく,英語を理解できる日本語ネイティブのオトナが「ハウ トゥー ゲッ トゥー セサミ ストリート」と言うよりも,英語ネイティブには通じたのではないだろうか.
(観点は変わるが,僕の子どもの頃の英語の認識については「ノオト:僕が子どもだった頃の英語の認識」を参照.)

ことばは,まず耳から入り,学ぶ意識なしに学び,練習する意識しに発話の練習をする.要するに,ことば体験は音から始まる.音のことばと文字のことばの対応を学ぶのは,それから数年後のことである.

学習初期のこのような過程が影響してか,音と既知の文字を自分勝手に結びつけて覚えていること,つまり誤解していることが,誰でも少なからずあるのではないだろうか.

僕の経験でいえば,「完璧」の「璧」を「壁」と誤解していた,「熱燗」の「燗」の字の門の中が「日」であると誤解していた,テニスのサーブで,ネットに触れてから相手コートに入るときのコールを「ネット」だと思い込んでいた,10個(じっこ)を「じゅっこ」と聞き,言っていたこと,などがすぐに思い浮かぶ.
(もっとも,最後に挙げた「10個」については,アナウンサーなどを除けば,日常的には「じゅっこ」がデファクト・スタンダードであろう.)

ごく最近の例を挙げれば・・・

NHKラジオ第2にチャンネルを合わせたらたまたま流れている番組でのことである.そのたまたまが,現在のところ4〜5回あるのだが,その番組で,「トニー柿谷」「柿谷しょうざぶろう」という名前が幾度も流れてきた.毎回,村上春樹の小説が朗読され,その英訳版を通して英語を学ぶ番組のようなのだ.

今日もまた偶然にその番組を聞いたのだが,今日は,はじめて,「柿谷」ではなく「たきたに」と聞こえてきた.これまで,そのラジオ番組で数十回は聞いたであろう「○きたに」は,「滝谷」であったのだ.登場人物は,正しくは「トニー滝谷」「滝谷省三郎」であったのだ.

これが単に,僕の早とちりのひとつならいいのだが,自分の年齢を考えると,加齢に伴う,子音の聞き取り能力の減退のためであるとなると,少々ショックである.もっとも,この歳になるとこの手のショックには慣れっこになっているから,認めざるを得ないとなればすぐに気持ちを切り替えることができる…と思っている.

気持ちの切り替えと述べた割には往生際が悪い言い訳と響くかもしれないが・・・

人間は元来,文脈や状況によって音を聞き間違えるものである.有名な例はマガーク効果である(参考:Wikipedia「マガーク効果」).これは,「が が が が が」と発声している映像(音声なし)に,「ば ば ば ば ば」の音を重ねて見ると,「だ だ だ だ だ」と聞こえる現象である(正確にいえば,「見る」は「見聞きする」である…念のため.).
(この効果を利用すれば,目を閉じて聞けば「オバQ」と聞こえるが,目を開いて見ると「小田急」と聞こえる映像を作ることもできる.)

《追記:2014-11-01》マガーク効果には,〈映像:が〉+〈音声:ば〉→〈聞こえ:だ〉だけでなく,〈映像:か〉+〈音声:ぱ〉→〈聞こえ:た〉もある.「柿谷/滝谷」の混乱は〈か〉と〈た〉で起こったから,この後の方の例と関係が深い.マガーク効果が発表されたオリジナルの論文によれば,18歳〜40歳の場合,〈が+ば→だ〉回答は98%,〈か+ぱ→た〉回答は81%との結果が示されている.

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