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2013年3月14日 (木)

「恐るべき発想:略語編」への付記

ノオト「恐るべき発想:略語編」に関して2つほど追記しよう.

まず,単語の頭文字から作った語,頭字語(acronym),についてである.

実は自身,ここに書いたことで改めて辞書を引くまで曖昧にしか理解していなかったことがある.NATOやUNESCOは頭字語だが,WHOやOECDは頭字語ではないということだ.コンピューターがらみのことばでいえば,GIFは頭字語だが,USBは頭字語ではない.(この区別は飽くまでも辞書の定義であって,世間では曖昧のようだ.インターネットを眺めてみると,どちらもacronymとしている例にすぐに行き当たる.)

頭文字を並べて作った語のうち,ひとつの語として発音するものを頭字語と呼ぶのだそうだ.NATO=ナトー,GIF=ジフ(画像形式のひとつ),これらはひとつの語として発音するが,WHO=ダブリュー・エイチ・オー,USB=ユー・エス・ビー,はアルファベットを並べて読んでいるだけである.

となると,CD-ROM=シー・ディー・ロムは複合型である.画像形式JPEG=ジェイ・ペグ,も複合型といえよう.

※参考:画像形式,GIF,JPEGなどの違いが気になる方は,例えばこちらへ.

さて,少し観点を変えよう.

ノオト「恐るべき発想:略語編」で,「(英語では)日本語の略語とは違って,元の語の情報がほとんど消えてしまう.」と書いた.そのように書きつつ,僕の頭に浮かんでいたのは,30年ほど前に読んだ古典長編小説のシーンである.

そこには,チョークで単語の頭文字だけを書き並べて2人が会話しているシーンがある.小説に出てくる文とは無関係だが,例えば,A Y N I L というように(ヒント:ビートルズ/答えはこのノオトの最下部を参照).

頭文字だけで2人が会話できるのは,もちろん,文脈を共有しているから(互いの考えを理解しているから)であるが,実は,これは極端な例なだけであって,日常の言語理解にも同様の要素がある.ひとつだけ例を挙げれば,全部が聞き取れなくても言わんとすることが完全に分かることも本質は同じであろう.

ところで,その古典長編小説とは何か? 僕の淡い記憶では「赤と黒」であった.とはいえ,曖昧なままではここに書けないので,図書館で借りてきて250頁ほどをめくり,拾い読みした.そのシーンは見つからなかった.念のためもう一度,今度は後ろから逆に頁をめくったが,それでも見つからなかった.

「赤と黒」は勘違いであった.上記のシーンがあるのは,トルストイ「アンナ・カレーニナ」であった.レーウィンとキティが,テーブルにチョークで,文の各単語の頭文字を書いて会話するシーンが第4編の13にあった.

【答え】A Y N I L = All You Need Is Love

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