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2012年6月14日 (木)

厳しいだけじゃない

映画「幸せの教室」(原題 Larry Crowne)は,にとってさまざまな点で楽しめた映画だ.

それらの点を順不同で挙げると・・・

まずは,邦題の上手さである.文化的な背景を知らない者には,主人公の名前だけのタイトルでは映画の内容どころかジャンルさえ推察することができない.だからこの映画の場合適切な邦題は必須だが,この邦題は特に上手いと思う.まさに,簡にして要を得た表現だ.

次は,アメリカの大学の一端が見えたことである.フィクションとはいえ,現実にありそうなことが描かれているだろう.さまざまな学生,教師によるやり方の違い,授業の人気のあるなし,教師の悩み,学生と教師のやりとり.さらには大学経営に関わる描写など,僕の日常と対比して,思いを巡らした.
(これだけを書くと,この映画が学生の大学生活を描いたもののように誤解されかねないが,そうではない.人生を生き,悩む50代の男性が勤め先を解雇され,人生の再スタートのために大学で学び,そこで出会った教師や学生との交流を描いたオトナ目線の映画である.)

最後は,いい表現に巡りあえたことである.これも直前に書いた大学教師としての僕の視点に関連することだが,大学という社会だけでなく,より広い場面にあてはまるだろう.

その表現は "tough but fair" である.映画の字幕では「厳しいが公平」と訳されていた(と思う).
公平には,教師が複数の学生を平等に扱う,あるいは,上司が複数の部下を平等に扱うという意味があるから,この訳は適切だと思う.しかし,僕はこの語義を少々拡大解釈して,学生に対する教師の態度が適性である,あるいは,部下に対する上司の態度が適性であるという意味もあるように思うから,「厳しいが公正」という訳もあり得ると思う.更に意訳して「厳しいが誠実」と捉えてもいいと思っている.

大学教師として22年目の僕が,その当初から掲げているキャッチフレーズは,「指導はやさしく,評価は厳しく」(*註)である."Tough but fair" は,少々観点が異なるものの,このキャッチフレーズに通じる部分があると思う.だからこそ,その表現が僕の心に響いたのだろう.

(*註) 「やさしさ」は時代と共に大きく変わる.ここでいうやさしさは,僕の世代にとってのやさしさである.即ち,そのやさしさを受けることによって,今は辛くて傷つくかもしれないが,将来を思ってのやさしさである.(ノオト「不親切という優しさ」も参照)

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