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2010年5月

2010年5月31日 (月)

動機づけの科学

最近は毎週欠かさず見ることはなくなってしまったが,時折見ても相変わらず,NHKのサラリーマンNEOは面白い.

先月に放送されたコント「癒しのBar」は,自信をなくした男にやる気を出させてくれるマスター(沢村一樹)のいるバーであった.

ダメだ〜と落ち込んでいる男にマスター自身の体験談(劇中でも実話の設定かどうかも定かではない)を披露し,相談した客はたちまち自信を回復する話である.

さて,の愛読する科学情報サイト Science Centric に,「うまく行くだろうか?---自己動機づけの科学」という記事が掲載された(動機=モチベーション;原題は "Will we succeed? The science of self-motivation").

記事によれば,大学生にアナグラム・ゲームをさせたところ,ゲーム前の1分間「できる,できる,…」と自分に言い聞かせた場合と,「できるだろうか,できるだろうか,…」と自分に言い聞かせた場合とで,後者の方が成績がよかったという.

また同様にゲーム前に“I will”(わたしはきっと〜する) と書いた場合と“Will I”(わたしは〜するだろうか) とでは,“Will I”と書いた方がゲームの成績がよかったそうだ.

【註】“Will I”とは,“Will I”を含む文章のことか? 記事の記述だけではそこまでは判断できなかったが,恐らくそうだと思う.

一般には自己肯定の方がよい結果をもたらすと考えられているから,これは意外な結果である.オリジナルの論文を入手して読んでみようと思う.

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2010年5月29日 (土)

3D映像:賞賛と批判

まとまった,そして高水準の3D映像を見た経験のない時期に,ハイテク3D映像に対する批判めいた文章を書いた(ノオト「立体視」).

その後体験してみたが述べなければならないのは,3D映像がすごくよくできていて感動したこと,予想外に疲れを感じなかったことである.確かに面白い!

だが同時に,(現状の)3D映像の問題点を明確に感じた.それは,

  • 3Dメガネが案外に軽くはあるのだが,それがごっつくて常にその存在を感じなければならず,煩わしい.
  • 3D効果を阻害しないための工夫だと思うが,メガネがゴーグルのように左右の視野を遮っているので,横に並んで座っている人の表情や雰囲気を感じることができずに,コミュニケーションを阻害する.

先日,さいとうあきお氏(氏の活動の一端を知ることのできるWeb頁はこちら)と話していて,僕が感じた上記の問題点を大変に分かりやすく表現していた.

『3D映画は劇場を個室化する』(さいとうあきお氏談)

たとえ他者が同じ空間にいても,3Dメガネによる遮断と没入感のために,個室で見ているのと同じ感覚になるというのだ.言い得て妙だと思う.

今はまだ家庭に3Dテレビが普及していないから映画館に足を運ぶ必要があるが,上映される物語を他者と共有する要素がないのであれば,劇場で観る必要はない.ここで言う共有とは,同行した知人との間に限ったことではない.他の観客の笑い,ざわめき,息をのむ気配など,劇場への参加者全体との共有である.それは共感と言い換えることもできるだろう.

もう一つ氏が言っていたのは,3D映画は想像力を不要にしてしまうということだ.確かにそうだ.臨場感は圧倒的に増すが,想像力の働く余地を奪ってしまう.

機器に頼らずに自らバーチャルする力が弱まることで,動物としての人間力が低下するのは間違いない.僕はそれは避けたいと思うし,避けた方が僕の考えるいい人間社会につながる.が,たとえそうじゃない人間や人間社会に変化していったとしても,相変わらず人間はそれに適応して行くのだろうから,嘆く必要はない.ただ,自分なりの努力や表現はし続けたいと思う.

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2010年5月27日 (木)

女心の難しさ(続)

以前,男のカッコよさの判断を巡り,女心の難しさについて書いた(ノオト「女心の難しさ」).

そこでは,たまたまスポーツ大会の打ち上げに参加していた女子2名の見解が一致しており,その一致した見解が僕自身の判断とズレていたから,女心を知るのは難しいと思った.

ただし,科学者であるが,たった2名の判断を一般化するわけにはいかないから,まずは職場の身近なアラフォー(?)女子Yに尋ねてみたところ・・・

答えは「おっとこおらしぃ〜♪」だった.

Yによれば,草食系男子が蔓延る[はびこる]世の中で,そのような男子は男らしくてほれぼれする,つまりカッコいいのだそうだ.

そう言われてみると,何だか理解できてきた気がする.

3人では,統計学に照らし合わせて間違いない判断をするために必要とされるサンプル数にははるかに及ばないが,もうこれで降参した方がいいように思う.

もちろん,折に触れ同じ質問をしてサンプルを増やして行くつもりだが,この格好よさを認めた上で,更に女心(に限らず人間の心)の研究を深めていきたい.

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2010年5月24日 (月)

電話の相手は誰?

Telephone相貌失認 (prosopagnosia) は人の顔が見分けられない症状である.この症状については今では広く知られているが,人の声が聞き分けられない症例が今年になって初めて確認されたという.

その人はビジネスで成功した62歳の英国人女性で,それ以外は何ら問題はなかったそうだが,小さな頃から人の声が聞き分けられなくて困っていたという.特に電話では,それが自分の娘でも聞き分けられなかったそうだ.

研究者の間でそのような症状があることが理解され,正式にそれと診断されたのが今になったということだから,これまで相当な苦労があったようだ.

聞き取りや会話はまったく問題なくできるのに文章を読むことが困難な読字障害も,比較的最近になってその存在が認知されてきた.

自分にとって当然のことが,誰にとっても当然というわけではない.大なり小なり,他人と自分のさまざまな相違を受け入れられるとき,人は寛容になれる.

はといえば,変わり者を自他共に認めるようになってから,寛容になった気がする.自分が変わり者だから,大概の人と自分には相違があるのが当たり前だから,相違を受け入れるのに慣れてきて,自他共に認める(?)寛容な人になったのではないか.だとすると,「変わり者=寛容人」の法則が成り立つのではないだろうか.

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目は夢の世界の窓

Sleepingよく,目は心の窓というが,最近公表された論文によれば,The eyes are a window on the dream world (目は夢の世界の窓) だそうだ.

睡眠時の目の動きと体の動きの関係を調べたところ,目が向いている方向と手などが伸びる方向が一致したという.

ただし,一般には,人は睡眠時にそれほど意味のある体の動きをしない上に,特にレム睡眠時には,目は活発に動くが体の動きは見られない.
(レム睡眠=REM sleepとは,Rapid Eye Movement sleep,つまり急速眼球運動睡眠のことであり,目が活発に動く睡眠モードのことである.詳しくはこちらを参照.)

ところが,レム睡眠時に体が動いてしまう人がおり,それをレム睡眠行動障害と呼ぶ.
(は子供の頃,寝言のはずが起きている人と会話をしたり,眠ったまま体を起こすことが時折あったようだ.ひょっとすると,しっかり診断すれば僕もレム睡眠行動障害だったのかもしれない.大人になった今では僕のそのような症状は報告されていないから,恐らく治ったか,観測できないくらい軽微になったのだろう.)

さて,この研究では,この障害を持つ人々の睡眠中の目の動きと体の動きを詳細に調べた結果,レム睡眠時=夢見時=の目が動く方向と手などが動く方向が一致することが分かったという.

もちろん,この障害を持たない人は体の動きが観察できないのだから,この障害を持たない人には当てはまらない可能性は否定できないが,研究によれば,体の動き以外はこの障害の有無による差がなかったことから,人は誰でも夢の中で何かに手を伸ばすときには,目もその方向を見ているといってよさそうだ.

つまり,夢見時の目の動きを観察すれば,本人が夢の中でどの方向に注意や視線を向けているのかが分かるということだ.

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2010年5月23日 (日)

錯視:不思議な指輪

錯視=視覚の錯覚=を集めているウェブサイト Mighty Optical Illusion に,Video: Optical Illusion Ring (ビデオ:錯視リング) という記事が掲載されている.

錯視情報紹介に加えて錯視グッズ販売も行なっているサイト (Grand Illusions) で販売されているリングの効果を紹介するビデオである.

このサイト内にはさまざまな興味深い錯視を紹介し,解説している頁もあり,その中にはハイブリッド・イメージの手法を異なる2つの表情の重ね合わせに適用した例を紹介している頁もある(その頁には左右に2つの顔写真がある.左は怒っていて右は穏やかである.遠く離れて見ると表情が逆転する!).

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心配の解消!?

以前,ノオト「過信への不信感」で,現在の脳科学の強力な研究ツール(測定器)であるfMRIについて述べた ----- fMRIは非常に多くの研究で用いられているが,実はそこから得られる結果の解釈や安定性に疑問が残されていることを.

ごく単純にいえば・・・fMRIは脳の活動を測定していることになっているが,実は脳内血液の流れを測定しており,その流れが発生しているならば脳神経(ニューロン)が活動している《はず》だという論理に過ぎない.

その《はず》の正しさを立証することが重要な課題であった.

最近,fMRIのこれまでの仮定が正しいことを示す研究が発表されたそうだ(Stanford-led team validates, extends fMRI research on brain activity;スタンフォード大学を中心とする研究グループが脳活動のfMRI研究の正当性を立証 → これはスタンフォード大学のオリジナル記事へのリンクだが,僕がこのニュースを知ったのは科学ニュースサイト Science Centric である.)

この記事によれば,fMRIを利用して書かれた研究論文は25万件に及ぶそうだから,多くの研究者がホッとしていることだろう.

もっとも,研究とは,各研究者が立てた仮説を最大限の努力で実証した記録であるから,間違いはあり得るし,さらにいえば,間違いを恐れずに野心的な仮説に取り組むことで他の研究者に非常なやる気を引き起こす研究もある.

間違いは失敗じゃない.さらにいえば,失敗は無駄じゃない.

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2010年5月22日 (土)

女心の難しさ

職場のボウリング大会があった.

は無条件にうまいといえる腕前ではないが,好きなスポーツである.

年に3回ほど,ゲーム数にして6ゲームほどはやっているから,数年振りという人に比べれば有利であっただろう.

この2年間のアベレージは140程度で,大会では2ゲーム平均スコア145で入賞できた.

さて,大会後の懇親会でのことである.

ベテラン男子Tが,行きつけの居酒屋に来る常連客の話をした.その客は,店に入ると生ビールを頼んで一気に飲み干した後,キープしている焼酎を自分で棚から取り出すと,グラスを2つ並べて水割りを作り,2杯をさっと飲み干して帰って行くそうだ.

その話を聞いて僕は内心,いやー慌ただしいなー,僕とは正反対だなーと思っていた(Tも僕と同じ見解).ところが,目の前の席にいた若い女子Oがすかさず,「カッコイイですね~♪」.

女心って難しいと感じたが,やがて話題が変わり,時間が経って自然発生の席替えが何度かあった後,僕が若い(?)女子Fと話していたら,偶然にまた近くにTが来たので,さっきの居酒屋常連客の話をしてやってくれないかと頼んだ.

驚いたことに,Fの反応もまったく同じで「カッコイイ~♪」だった!

女子2名中2名が,僕とは異なるまったく同じ見解であったことが驚きで面白いと感じたが,本当に驚くのはもう少しサンプルを増やした結果をみてからにしようと,科学者である僕は冷静になって思うのであった.

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2010年5月15日 (土)

錯視・オブ・ザ・イヤー 2010

Eye2009年5月にノオト「錯視・オブ・ザ・イヤー」で紹介した Best Illusion of the Year の2010年版が発表された.

第1位は日本の杉原厚吉さんによる Impossible motion: magnet-like slopes (あり得ない動き:磁石のような坂) である.

動画作品が多い中にあって,静止画で健闘していると思うのは,The fat face thin (fft) illusion (太った顔が細く見える錯覚) である.
(括弧書きの省略表現 fft は恐らく,理系人には馴染みの深い FFT〈高速フーリエ変換〉にかけたシャレだと思う・・・が,Web検索してみたら,ゲームのFFTの方が先に表示されるから,自信がなくなってきた.)

下の段の男性の顔は左右ともまったく同じ写真である.上下反転させた方は少し細く見えたり面長に見える.人間が顔を認識する際の脳内処理の複雑さを物語っている.

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2010年5月12日 (水)

オトナな桃太郎

今年のゴールデンウィーク中に何気なく見たテレビ番組に,桃太郎侍こと高橋英樹が出ていた.

それは誕生日を迎えた高橋へのサプライズ企画であった.

企画の本題からは逸れるが,高橋の行動にオトナのコミュニケーションを見たので書き留めておこうと思う.

レストランでの食事中,近くのテーブルの子供(小学生)がぐずって食器を鳴らしている(もちろんこれは仕組まれた演出).料理がなかなか来なくて待ちきれないようだ.

しばらくすると高橋は我慢しかねた様子で子供の方を見ているから,直接注意するのかとハラハラしていたら,ウェイターを呼び止めた.未熟なはとっさに,ウェイターに注意させるのだなと思ったが,高橋の口から出た言葉は,あの子に早く料理を出してあげたら,であった.

空腹の子供の機嫌が悪くなるのは仕方のないこと,との冷静な判断と,状況の改善に向けた気の利いた行動が勉強になった.

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2010年5月11日 (火)

ダジャレ・アーカイブズ:中華街♪

ダジャレ・アーカイブズに「中華街♪」を追加.

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2010年5月 5日 (水)

シャレたハンコ

東急ハンズ内をぶらぶらしていたら,「乙幡流 ダジャレ消しゴムはんこを彫っちゃおう」という参加型イベントが開催されていた.

ダジャレには一家言ある僕は「ダジャレ」の文字に引きつけられ,数組の親子がはんこ手作り体験をしているテーブルの傍らに立ち止まり,何が行なわれているのか,食い入るように観察していた.

時間帯を区切り定員制で実施しているイベントではあるが,その回は定員までまだかなり余裕があることから推測すると,まだ2回残っている枠にも余裕があるに違いないのだが,何度も目があったにもあかわらず僕には一切声がかからなかった.

もちろん,僕自身も,大勢の客がチラ見しながら通っていく目の前で一人で参加する勇気はなかったから,担当者(2名)の判断は正しかったのだが,もしも,

担当者「トートバッグも付いて300円で体験できるんですが,お客様もいかがですか? 所要時間は90分です.」

と声をかけられたら,

僕「今回は結構です(^_^) ところで,ここで材料や型紙を購入して同じことを家ですることはできますか?」

と自然に聞くことができただろう.

結局,担当者の声はかからなかったが,僕は聞きたかったことを聞き,今回使用しているのはイベント用に作られたものだが,同様のものでよければインターネット入手できると思うとの情報を得て,アーティストの名前をしっかりメモしてその場を離れた.

ハンコではなくダジャレが目的であった僕にとって十分な情報であった.

そのアーティストは乙幡啓子さんといい,案内では工作家と紹介されていた(Webページはこちら).

ダジャレ消しゴムはんこの図柄はここで見ることができる

はじめは,ハンコではなくダジャレが目的の僕ではあったが,

「ことばだけでダジャレ」→「ことばと絵でダジャレ」→「それがハンコに」

・・・と,表現力とアピール力が膨らんでゆくのを感じ,僕が求めるべきダジャレ道はどのような形なのか,しっかりと考えをまとめる必要があると思い知らされた.

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2010年5月 4日 (火)

もっと難しい迷路!?

もっと難しい迷路!?錯視=視覚の錯覚=を集めているウェブサイト Mighty Optical Illusion に,Floating Maze Optical Illusion という記事が掲載された.

それは,動かない絵の迷路のはずがうにゃうにゃと動いて見えて,迷路の問題が余計に難しくなってしまう錯視である.
(上記リンクをクリックすれば,ますます,うにゃうにゃ効果が大きくなる.左上の写真も同じ絵なのだが,これくらい小さくなると効果が表われないのがまた興味深い.)

その記事中には,同様の効果を利用した“飲酒運転するとこうなる”というポスターも紹介されている.

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