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2009年1月13日 (火)

ボルグのやり方と,読字障害と,動物としての人間

ボルグとは,世界ランク1位を獲得した往年のプロテニスプレーヤー,ビヨン・ボルグのことである.


【余談】僕の記憶では,ボルグが活躍していた当時はビヨン・ボルグと呼ばれていた.事実,インターネット検索してみると,ビヨンと表記しているサイトも多い(例:tennis 365 選手名鑑).しかし,Wikipediaではビョルン・ボルグと表記されている.Google検索のヒット件数で比較してみると,「ビヨン・ボルグ」が約7,060件,「ビョルン・ボルグ」が約11,600件であった(2009/01/12, 18:00現在).

書籍『岡田武史監督と考えた「スポーツと感性」』(通販サイトAmazonへのリンクはこちら)の中で,ボルグは試合の1日前くらいから文字を読まなかったという逸話が紹介されている.文字を読むことで闘争心が萎えるからだそうだ.

文字と人間の関係といえば,読字障害(ディスレクシア)が連想される.これは,会話はまったく問題ないのに文字を読むのが困難という症状である.2008年10月に放送されたNHKスペシャル「病の起源 第4集 読字障害~文字が生んだ病~」によれば,日本人の5%(英米人の10%)はこの障害を持っているそうだ.

人類としての数百万年の歴史を考えたら,文字を使い始めたのはごくごく最近である.大ざっぱに人類の起源を500万年前,文字の起源を5千年前として,人類の歴史を1年にあてはめ,人類の起源を元旦,現在を大晦日の23時59分59秒とれば,(一部の人間が)文字を使い始めたのは大晦日の午後3時過ぎである.大多数の人間が文字を使うようになるのは,紅白歌合戦が終了して,ゆく年くる年が始まる頃である.


《内省》経過時間の極端な違いを直感的に把握する目的で,このたとえを書いてみたが,目的が達成できていないように思う.つまり,大晦日の午後3時過ぎは,まだ結構残りがあるような感じもする.歳を取って時間を短く感じるようになったからだろうか…(書籍「大人の時間はなぜ短いのか」を参照.通販サイトAmazonへのリンクはこちら).

非常に長い時間をかけてゆっくりとしか変化できない生物の脳の観点から見れば,人間は文字使いの初心者である.本来は別の目的で使っていたはずの脳の部位を,文字のために流用しているのだから,あちこちに副作用が出るのは当たり前である.

動物としての人間にとって,文字はかなりのストレス要因になっているのだろう.

最近,学術雑誌Psychological Scienceに,視覚環境が記憶成績(など)に影響するという研究が発表されたそうだ(Science Centric News: A walk in the park a day keeps mental fatigue away →[相当に意訳]→ 公園散歩でストレス知らず).

公園を散歩した後は,散歩の前に比べて課題の成績がよくなるが,繁華街を散歩しても成績は変化しなかったという.更には,散歩せずに部屋の中にいた場合でも,自然の写真を眺めた場合と都市部の写真を眺めた場合では結果に差が見られたという.

難なくこなしていると思い込んでいても,動物としての人間にとっては,まだ十分に見慣れていない視覚情報の処理で脳に負担がかかっているのだ.

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