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1999年1月 4日 (月)

世界にただひとつ

「世界にたったひとつ,あなただけの…」を“売り”にする宣伝を数多く目にする.キャベツ畑人形(Cabbage Patch Doll)のように部品の「形や色の組み合わせ」を変えてただひとつにしているまっとうなものから,「通し番号の刻印を付けただけ」という詐欺まがいのものまである.
ひとには「同じでありたい」というのと同じくらい「独自でありたい」という欲求がある.そしてそれら欲求は複雑に絡み合っている.キャベツ畑人形なら,「人形を持つ」という「同じでありたい」欲求と,「世界にひとつだけの人形」という「独自でありたい」欲求を同時に満たそうとする.

しかしながら極端に言えば,人形を持ちさえすれば“自動的に”独自でありたいという欲求は満たされている.なぜなら,どれほど均一化の努力をしようとどこかしらに小さな違いを見つけだすことは可能だからである.

だから,「世界にただひとつ」をもう少し客観的に表現するには「相違水準5%で世界にただひとつ」というふうに統計学風の言い方が必要になる.

この考察を進めれば結局,「欲求充足度は個人の考え方次第」という普遍的な法則が浮かび上がってくるだろう.

◆参考 この内容は「汎化*」の問題として脳の学習理論(や認知科学や人工知能や…)での重要な研究課題になっている.子供がひらがなを学習するとき,本の活字だけで「あ」を学習した後に,形や色や大きさが違うのにお父さんが鉛筆で書いた「あ」を「あ」であると認識する.これが汎化である.


* “はんか”と読む.般化とも書く.米語ではgeneralization.因みに英語ではgeneralisation.

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